|
2008-05-16 Fri 00:01
最近、僕の中で『三谷幸喜』が熱いです。・6月7日にいよいよ三谷幸喜さんが監督を務めた映画としては4作品目となる「ザ・マジックアワー」が公開されます。それに合わせて三谷さんが今、2ヶ月限定でブログを開設されていて(おそらく映画公開日まで)、それを毎日チェックしていること。 ・以前読んだ万城目学さん(「鹿男あをによし」でお馴染み)のエッセイ「ザ・万歩計」がかなり面白く、緻密なストーリーを組み立てる作家繋がりで三谷幸喜さんのエッセイが気になり始めていました。そして、初期作品「オンリー・ミー 私だけを」(初版1997年)、「三谷幸喜のありふれた生活」(初版2002年)を古本屋で見つけ出して立て続けに読んだこと。 ・平日、三谷さんの声をラジオから聴いていること。 以上のことなどから、期せずして「三谷幸喜」月間となっております。 エッセイ本は、三谷さんの日常が綴られているのですが、“ありふれた生活”ではなくて“オチのある生活”と言い換えてもいいほど、どのエピソードも必ずオチがついて、三谷さんのキャラクターを想像するとクスッと笑えます。それらが、映画や演劇の創作活動に関連していることが多く、普段は表に出てこない“ものを作る人”の日常に興味がある人にはこれ以上無いエッセイだと思います。 これを読んで、三谷さんは、常に周りを俯瞰的に見ている人だという印象を受けました。自分自身の事も一歩引いたところから見られていて、その三谷さんには、どんな時もその状況を楽しもうとし、人生なんとかなるさ、明日は明日の風が吹くといった達観的、楽観的な考えが根底にあるような気がします。 しかし、当の三谷さん本人は、控え目で人の気持ちを気にするとても繊細な心を持った人。 そのギャップが、笑いを生み出す原動力になっているのかなと感じました。 エッセイの中には、芝居本番が目前に迫る中、全く原稿が上がって来ず俳優陣からの相当なプレッシャーを受け窮地に立たされる三谷さんも出てきます。焦れば焦るほど筆は進まず、どうにか俳優さんを安心させるために付け焼刃の策を講じようと思案するもそれが裏目に出たり、体力も必要だからと仮眠を取ろうとしたら結局何もない日曜日でもそんなに寝ることはない12時間以上も眠ってしまったり。ものを生み出すということは命を削るほどの苦しみを伴うと想像しますが、それでもそこにいる三谷さんは何処か可笑しみを醸し出していて、決して悲壮感は漂ってきません。 三谷さんは、「オンリー・ミー 私だけを」の中でこんなことを仰っています。
この文章を読んだ時、なんだか気分が楽になったような感覚がありました。こんな考えを持った人がいることに救われる感覚も。自分の中で、本当に真剣に悩んでいることがあって一人で苦しんでいるとします。そして、今まで誰にも言えなかったことを意を決して第三者に相談すると、意外にも笑って「そんなこと大したことないよ、どうにかなるさ。大丈夫。」という返事が返ってきてふぅーっと力が抜けた時の感覚に似ていました。時には、第三者の他人事的な楽観視が身に沁みて嬉しい場合もある。 人が本当に四面楚歌の状態に陥ったときの安全弁のような働きがそこにはある気がしました。 「おかしい」とは、生きている根本的な深い実感や感動をも含んでいて、それが「生きる勇気」と繋がる。その場に立つ力となり、そっと背中を押してくれる。客観的に「おかしい」と受け止められるセンスをいつも心の何処かに持っていたい。 (これを書いている時、ちょうど中国四川の地震がもたらした甚大な被害が次第に明らかになりつつありました。今、被災者の方々は、僕なんかが想像もつかないような苦しみや悲しみの中におられるはず。すると、同じ状況に立たされたとき、お前は本当に悲しみをすべて受け入れてその一段上によじ登り客観的に捉え、生きる力を絞り出せるのかと言われているような気がしました。答えは出ません。しかし、人間には、その底力が備わっていると信じたいし、先人の方々がそれを証明してこられたんだと思います。少しでも早く被災者の方々の苦しみが和らぐことを祈ります。) また、幕末にこだわる三谷さんが、幕末という時代の特色と関連付けてシチュエーションコメディーの要素を挙げておられました。
そこに笑いの要素は一見皆無のように見えて、実は笑いに一番近い状況と言えるのかもしれません。三谷さんだからこそ生まれた笑いのセオリー。 「オンリー・ミー 私だけを」の中には他に、“笑いや面白さは、物事の表層部分ではなく本当の核心を突いた時に生まれるのかもしれない、だから面白さを追及する三谷さんには物事の本質が見えているんだろうなぁ”と思えた一節がありました。 これは今から15年前である1993年、細川護煕内閣総理大臣が誕生した時に書かれた三谷さんらしい斜めから不真面目に大物政治家を考察した文章の一部。
そんな三谷さん。「ザ・マジックアワー」から生まれたブログを拝見していると、これから映画の公開日である6月7日まで、映画宣伝のために三谷監督怒涛のメディア出演が敢行されるようです。 「三谷幸喜のありふれた生活」には、映画「みんなのいえ」の映画キャンペーンの様子が書かれているのですが、当時は、150本の新聞・雑誌取材、90本のテレビ・ラジオ番組に出演したとありました。 海外から来るハイバジェットの映画で、時々くどいほど映画の宣伝が街に氾濫し、なんでもかんでも宣伝絡みで世間を動かしていくといった現象が起こりますが、そんな時、逆に拒絶反応を示して映画を観たくなくなる人がいることも事実。 「ザ・マジックアワー」はそういった映画とは違いますが、そんな類のリスクを犯してでも三谷さんが映画宣伝に身を捧げる哲学にも似た熱い決意が、「三谷幸喜のありふれた生活」にしたためられていました。
これを読めば、これから始まる三谷監督の映画キャンペーンの見方が少し違ってくるかもしれません。 三谷監督の映画も番組出演も今から楽しみです。「生きる勇気」が込められた三谷さんの「笑い」を今。 ■映画「ザ・マジックアワー」オフィシャルサイト ■期間限定ブログ「三谷幸喜の、みちたりた生活」 ■「マジックアワーを知っていますか。」 (「ほぼ日刊イトイ新聞」内) 以上、最近書くことがすべて上滑りしているりんくうがお届けしました。m(__)m 記事に関してお気を悪くされた方がいらっしゃったらどうかお許しください。
|
| 管理者だけに閲覧 | ||
|
| アドリア海の4.A.M. |
|



